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池田璃乃
blurred me(you)
5/08/2021 - 7/25/2021
未曾有のウイルスによって⼈とのコミュニケーションの在り⽅は急速に変化した。IT 機器の画⾯越しにタイムラグによって⾳声とずれて荒く写る表情、マスクを介して発せられるくぐもった⾔葉の⾳など、私たちのコミュニケーションは送り⼿と受け⼿の間に何かを隔てて⾏われることが多くなった。送り⼿がメッセージを送り受け⼿がそれを受容するまでの間、つまり表情や⾔葉が隔てられたフィルターを掻い潜って像を網膜に結びつけるまであるいは⿎膜を振動させるまでの間、およそ 30fps、340m/s。そこにある明確で不透明な両者のコミュニケーションにおける境界が以前よりも冗⻑したように感じる。
⽇本⼈のコミュニケーションでは明確な⾃⼰主張は⾃⼰本位とされ、ぼかした表現が作為的に⾏われている。そのため、ぼかされたメッセージはコミュニケーションを取る中で両者にとって両義的なものとなる。この多義的表現から、受け⼿による解釈によって進んでいくコミュニケーションの境界を⾛るメッセージの純度は低くなる。純度が低くなってもなお、送り⼿と受け⼿の境界に存在する両義的なメッセージとは単なる「⾔葉」になっているのではないかと考える。
多極重層化したコミュニケーションから⽣み出されるぼかされたメッセージ、すなわち「⾔葉」は、私たちの⽣活においてどのような意味を持つのかを潜思していく。
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